vol.44

新教育課程に向けた取り組みを
社団法人 日本図書教材協会会長
菱村 幸彦

いよいよ平成21年度から新しい指導要領の移行措置がスタートする。今回の移行措置では、学校の判断により、小学校の英語教育も含めて、ほとんどの教科・領域で新指導要領の実施が可能となっていることに留意したい。教科書なしでは移行困難な算数・数学や理科についても、新指導要領に基づく補充教材が無償で配布される。

各学校においては、すでに移行措置に向けた校内の体制づくりが進んでいると思うが、職員会議をはじめ、教育課程委員会、教科委員会、学年会など、あらゆる校内組織を稼働して、新教育課程への取り組みを本格化させる必要がある。完全実施までにはまだ時間があるとのんびり構えていると、その学校は取り残されることとなろう。

 

平成21年も挑戦 ― 認知スタイルを生かす
財団法人図書教材研究センター理事長
辰野 千壽

認知スタイルは、外界からの刺激(情報)をいかに受容し、処理するかの様式であり、人によって異なる。学習指導では、それに適した教材や指導法を用いることが必要である。ヒース(1964年)は、このスタイルを「認知の好み」と名づけ、批判的に疑問をもちながら学習する「疑問型」、事実や述語の記憶を中心に学習する「記憶型」、基本的な原理の理解を中心に学習する「原理型」、実際的な応用を中心に学習する「応用型」に分け、これらの好みは教授法の違いによって形成されるが、同時にその後の学習活動に影響すると考えている。我が国では、最近「知識」、「活用」の学習を重視しているが、活用型の学力を形成するためには「応用型」のスタイルを育て、それを学習に生かす工夫が必要である。

 

業界の教育的責任を果たそう
全国図書教材販売協議会会長
清水 厚実

平成21年は新しい学習指導要領への移行と一部繰り上げ実施の始まるきわめて重要な年になっている。  図書教材業界としては、戦後六十余年にわたり培ってきた図書教材作りの歴史的所産を活かし、一層優れた図書教材を出版し、児童・生徒の学力向上に寄与しなければならないと決意を新たにしている。
 また、図書教材を普及する立場にある全販協としては、すべての小・中学校とその子どもの家庭に公正、適切、迅速に教材を供給し、その教育的責任を果たさなければならないと考えている。
 最近は、教材費の未払い等といった困難な問題も抱えているが、販売店、出版社が協力して、これを克服し、所期の目的を達成したいと思っている。

〜図書教材新報vol.44(平成20年12月発行)巻頭言より〜